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柊こなたとは? 柊かがみと泉こなたを合成したキャラクター。同じ合成キャラクターである泉かがみの対として全レス企画をしている。しかし、AA保管庫に元々AAのみ存在していた泉かがみとは違い、こちらはVIPでのAA全レスでしか存在しないキャラクターである。外見は、柊かがみのツインテール、泉こなたの口、前髪、ホクロを受け継いでいる。通称こなみん。性格は柊かがみよりだが、生活能力は泉こなた似など両方の特徴を持つ(こなたの生活能力は受け継いでほしくなかった…)。ツンデレ且つノーテンキであり、食べ物が好き。その食欲は夕食にK○Cのチキンを2個食すほど(個人的にはそこまですごく思わないのだが)。ウドンとソバではソバを好み、甘いのと辛いのでは辛いのを好む。 大まかな設定は頑張って作った↓のもの。 p r o f i l e ,性別 : ♀ , ィ//____ 性生年月日 : 2月10日 /´ ̄ ! .`ヽ 格血液型 : AB型 ┌‐ァ´/ / .l . . .! `ヽ \ は星座 : 水瓶座 Y´ | / /__ イ イ . .__!、 .! ヾー ゝ 様身長 : 153cm. | / | /´/l/| . / `| | l | 々利き手 : 両手利き `Y イ ャ≠rヵ | ./r-=ェ | | な胸ランク : 小 |∧! /. ヒzソ |/ ヒzソ・| ト、l. S趣味 : ゲーム、読書 | ! . ート、'''' 、_,、_, '''ノl" l .| 系好き : 食べ物(とくにチーズがのったもの). | .ヽ | ` ァ-ャ<. | l .| ツ嫌い : 山芋、はっきりしないこと .| .| | /l / ト、 | l. | ン好きな色 : 青、橙 | .| |/ |/| |ヽ!l V イ. | デ得意科目 : 数学. Konata | .| | /| | .》 《 | |∧/ ! .| レ苦手科目 : 文系全般 Hiiragi | .| |〉 l l .| | l l | | . | 娘その他:らき☆すた公式設定とはなんら関係はない 設定がないとわかりづらいといった要望が あったので作成されたもの┌─────────┐ ┌────────────┐│ ★家族構成★ │ │ .★萌えパラメーター★ ││ 義姉 ━━━ 義妹 │ │☆ちびっ子 ★★★☆☆ ││泉かがみ 柊こなた│ │☆ツインテール ★★★★☆ │└─────────┘ │☆ツンデレ ★★★☆☆ │ │☆アネゴ肌 ★★★★☆ │ │☆食いしん坊. .★★★★☆ │ └────────────┘ ※このキャラクターステータスは「らき☆すた公式ガイドブック陵桜学園入学案内書」 に似せて作ってあります。細かい突っ込みは無しの方向で。 泉かがみとはどのような関係? 泉かがみに対して全レス主が勝手に妄想して生み出されたと思われがちだが、実は間違いである。2008年2月10日に「柊こなたが全レス」というスレッドが立てられた。 1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/10(日) 14 18 28.78 ID uJRYPskL0 ↓いでよシェンロン! その時の 1は以上引用の通り、誰かが作ってくれると思ってか、もしくは釣りとして立てたのであろうものであったが。そのスレタイに惹かれてかとある全レス者によってAAが用意され本人により全レスが始まった。思い起こせばそんな過去があったんだ…懐かしい。と、まあ・・このスレが立たなければ柊こなたの存在はなかったのである。(後に、「日下部みさえが全レス」というスレもたったが、こちらは無理がありすぎて日下部みさえは現れなかった。実に残念である。) その後、泉かがみと会話を何回か交わす中で、姉妹のような絆が結ばれましたとさ。めでたしめでたし。ちなみに、泉かがみ(いずみん)が姉、柊こなた(こなみん)は妹の関係であるが、実はこなみんの方が姉っぽい性格をしている。 余談ですが、らき☆すた公式キャラクターとはなんら関係はありません。むしろ関係があったほうがおかしいです。完全オリジナルな立場であることをご理解ください。 その他こなみんについてkwsk Q A 方式でお答えします。あまりにも無関係な質問には答えませんが、大体は答えるつもりです・・・こなみんが。こなみんが睨んできますが、以下のコメントボックスにて質問を受け付けます。 随時受付中 全レス使用AA ` ー== ――/` ―― .、 ,. ¨´ / .| ` 、 / ' / /` \ . \ // / . i| ./.| '. ヘ ヽ /イ / . イ | | i ∨ \ 〉=y‐..、 '’// 斗- . '/ ! ,! | .ト  ̄`卞、 ヽ . ! ヽ 7 〈 ' l ´ | /. | /! |Ⅵ ヽ レ ` ∨ `、′ Y / l | .斗ぇzl ! ! | リ tzェ≧廴_ V 〉 . | ./| . | 弋 __ノⅥ| ', ! イ__ノⅥ¨ツ` | | / . |ハ | | . | VK イ ヽ | !ん j 〃〉 . . Ⅳ / `| ハ . ヘ 込zソ ヽ! 込zソ. ∧ . / レi`ハ Ⅳ | . |__ '"'"'" '"'"'"/ ,∨ | .|i | | . ヽ .| ∧ △ /.7´ / |l | | . . | . l_ >- _ -<_/ / |! | | . | ,.-! | . . . . .|  ̄ | . . ./ , イ | ' | . . | '∧、V . . .ヘヽ _ ' / . ./ /| | ∨ | . ∨ ト、 \ . . .、 / . .ィ / .|/ . l | . ./ / k |\ \ ヽ //,イ . / / V .l l. | | . | ハ ヽ >ミ、Y/ 1 /|/ Ⅵ | | コメント 質問、感想、応援、Q Aの投書などなど こなみん・・・可愛い娘・・・ (*´ω`*) -- 名無し (2008-02-19 16 21 49) 名前 コメント
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ヴェルレーヌも詩ったように秋というものは、人をセンチメンタルな気持ちにさせる。 揺れて舞い散る落ち葉の、悲しげな舞踊のせいか。 纏うものを無くした木々の、哀愁漂う立ち振る舞いのせいか。 はたまた、食欲の秋を布石として生まれる、余分な脂肪からか。 個々によって原因は違うにしろ、その気持ちを紛らわすために、人々は温もりを求める。 そしてそれは、異性同士にばかり言えたもの、というわけでもない。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― -------------------------------- 『こなた庇護計画発動』 -------------------------------- ―――――――――――――――――――――――――――――――― 「はぁ……」 意味もなく大きな溜息をつくのは、薄紫色の髪を頭の両端で結ったツリ目の女の子。柊かがみだ。 首を回して窓の外を見ては、視線を前方に戻して溜息をついていた。 すれ違う生徒達はいずれも笑顔で、並んで歩く友人と他愛もない話をしている。 かく言うかがみもそれは変わらず、隣には少し不釣合いな身長の少女が付き添って、楽しそうに話していた。 「ねぇかがみぃ、少し歩くの早いって」 「え? あ、ご、ごめん」 「何かあったの? 溜息までついて」 「……いや、別に。なんでもないわよ」 そう言いながらも目は泳ぎ、隣の少女はどうにかしてその視線を捕らえようと、体を傾けて追いかける。 こっち向いてよ、という青髪の少女、泉こなたの言葉に、1度は目線を交えたものの、すぐにまた反らしてしまう。 「悩み事なら私が聞いたげるよ?」 「……言えたら苦労しないっての。まったく、誰のせいだと……ブツブツ」 「?」 普段ちょっとした相手の変化には鋭いこなただが、自分のこととなるとこれでもかと言うほどに鈍感になる。 かがみの悩みの原因が自分だとは、気づきもしないようだ。 2人して前を向かずに階段を下りる。危険だと言ってくれる人は近くにいない。 そして案の定……。 「むぅ、教えてよぉ……気にな、ひゃぁあ!?」 「こなた!?」 残り7段ほどのところでこなたが足を踏み外し、転げ落ちてしまった。 かがみが真っ青な顔をして駆け寄る。 うつ伏せになってプルプルと震えているこなた。 スカートが捲れて、可愛らしいショーツが丸見えだ。 「ぱ、パンツ……じゃなくて!! だ、大丈夫!? こなた!!」 「いったぁ~……大丈夫大丈夫。いやはや、私としたことが」 やっちゃったよぉ、と軽く言うのはかがみに心配させないように、という 気配りからなんだろうが、痛々しく膝から滲む血と、既に青あざになりかけている脛が かがみを追い込んだ。 「ひぃ!? こなた……こなたぁ!!」 目尻に涙を溜めながら、こなたに抱きつくかがみ。 突然のかがみの豹変に、こなたはあたふたして背中をさすってあげている。 「お、落ち着いて? 大丈夫だから、ね?」 「ぐすっ……あ、ごめん」 「もぉ、いきなりどうしたのさ」 「いや、その……すごく、びっくりしちゃって」 こなたはポケットからハンカチを取り出して涙を拭いてあげる。 かがみは赤くなりながら、されるがままだ。 「なんかこれは逆じゃないのかな?」 「そ、そうかもね……」 怪我をしたこなたが泣いて、それをかがみが受け止めてあげる、というのが普通だろう。 かがみを慰めるこなたは、そこに密かに萌えていたりした。 「まぁいいや、取り敢えず保健室行ってくるね」 「え!? わ、私もついてくわよ!!」 当然の反応だ。友人が目の前で怪我をしているのに『わかった、いってらっしゃい』 なんて言う人はいないだろう。 しかも心配性のかがみのことだ。ついていくだけじゃなくて、そのあとも付き添って ずっと面倒を見るとか言い出すだろう。 それを分かっているからか。 「かがみは教室戻りなよ。もうすぐで授業始まるよ?」 こなたはかがみに、教室へと戻るように言った。 「で、でも……心配で」 「大丈夫大丈夫♪ 膝擦り剥いただけで大した痛みもないし、1人でいけるよ」 「でも……」 やたらに助詞を連発するかがみを制しながら、ゆっくりと立ち上がるこなた。 大丈夫大丈夫とかがみに言い聞かせながら、一歩踏み出した。 ところが……。 「……っ!!」 「こなた!?」 足首を押さえながら蹲ったこなたの肩に手を置いて、しゃがみこむかがみ。 しかしこなたは、何事もなかったような笑顔をかがみに向けている。 「な、なんでもないよ」 「……こなた」 かがみはさっきと打って変わって、怒ったような顔をしていた。 コロコロと表情の変わるかがみに、こなたはついていけず戸惑っている。 「な、何?」 「右足見せなさい」 疑問でも願望でもなく、命令。相手の返事を必要としない、確認としてのその言葉を 言い放ったかがみは、こなたの右足を――脹脛を掴んで自分の方に近づけると、ソックスを 優しく下ろした。 「やっぱり……」 「えっと……かがみ?」 外気に晒されたこなたの足首は真っ赤に腫れ上がり、ピクピクと痙攣している。捻挫して いるのかもしれない。 かがみは意を決したように、こなたの背中と太ももに手を回して持ち上げた。 「ちょ!! か、かがみ!? だから大丈夫だって!! 私一人でも」 「何言われても、連れてくからね!!」 「う゛……は、はい……」 かがみのあまりの剣幕に、こなたはもう何も言わずにお姫様抱っこされている。 あまりこなたに負担をかけないように、かがみは保健室へと向かった。 「こなた、痛くない? 揺れとかで」 「ん、大丈夫」 体勢上、2人の顔はかなりの至近距離にある。 自然と顔が上気してしまう。 すると、珍しくこなたの方から目を反らした。 「どうかした?」 「え? いや、その……」 言い淀むこなた。いつもズバズバ言葉を発して、かがみを赤面させるこなたにしては 珍しいことだった。 そのためか、かがみも少し強気になっている。 「何よ、気になるじゃない。……言いなさいよ」 「……え? いや、その……かがみ、なんかかっこいいなって……思って」 「っ!?」 不意打ちの嬉しい言葉に、かがみの顔はみるみるうちに真っ赤になる。 まるで熟れたトマトのようだ。 何か言いたいけど言葉が見つからない。そんな状況に、口をパクパクさせている。 「やっぱりかがみ、私より体……おっきいんだね……なんか安心する」 そう言葉を紡ぎながら弱弱しく体を授けてくるこなたに、ついにかがみは理性が崩壊してしまった。 「……」 保健室のドアを荒々しく足で開ける。しかし、どうやらふゆき先生はいないようだ。 『一番奥のベッド』へとこなたを下ろしてから、足首と足を弾性包帯で固定し、氷嚢を 作って患部に当てた。 「冷た!!」 「当たり前でしょ。……はい、ここに足乗せて」 「はーい……でも、こんなにしなくても大丈夫だよかがみ」 「だーめ、もしも捻挫だったらどうするのよ。捻挫は骨折よりも怖いんだからね?」 右足を台の上に乗せて、心臓よりも高い位置にする。 これが一般的に知られる家庭医療だろう……と思う。 「さて、これ以上のことは先生に任せるとして」 「うん、ありがとかがみ。もう戻っていいよ」 「何言ってるのよ。他に怪我した場所を確認するに決まってるでしょ」 「えぇ!?」 「取り敢えず膝と脛のところは確認できたわね……他にも怪我してるかもしれないわ。というわけで脱いで」 「なにおぉ!?」 然も当たり前のように力強く言うかがみ。 流石のこなたも、この言葉には首を全力で横に振った。 「あ、ごめん、カーテン開いてたら恥ずかしいわよね。今閉めるから」 「ちょ!! 違!!」 こなたが言い終わる前にカーテンを閉め、洗濯バサミでしっかりと止めた。 「あぁ……逃げ道が……」 「脱がすわよ」 「かがみ、積極的すぎ……うわ!!」 あっという間に下着姿にされたこなたは、恥ずかしさでもじもじと身動きをした。 かがみはその様子を凝視している。 「……」 「あの、かがみ?」 「あ、あぁ、それじゃあ怪我見るわね」 そう言いながら、こなたの肌に手を沿わせるかがみ。 ここは? じゃあここは? と痛いところを探っているみたいだが 明らかに触るところがおかしい。胸やお尻の周辺ばかりだ。 「かがみ、同じところ触ってるんだけど」 「あら、そうだった?」 やっと理性が戻ってきたのか、触る掌が妙にプルプル震えている。 まるで豆腐か何かを、崩れないように触っているようだ。 とてもじゃないが、痛いところを見つけようとしているとは思えない。恋人のそれを触るような手つきだ。 「か、かがみ、他のところは大丈夫だよ。痛むところもないし」 「そ、そうね。じゃじゃじゃじゃじゃじゃあ、服着て」 「動揺しすぎだよ」 完全に理性が戻り、自分の行為の恥ずかしさを実感しているかがみを尻目に、こなたは制服を着始めた。 すぐにふゆき先生が戻ってきたが、なんとか服を着終わることができたようだ。 「捻挫ね」 ふゆき先生がこなたの足首を診て、すぐにそう言った。 「あぁー、やっぱり」 「えぇ、今日はもう帰って、病院に行ったほうがいいわ。捻挫は怖いからね」 「あ、それかがみも言ってました」 氷嚢を足首に当てながらこなたが言う。 さっきよりも赤く腫れて、中心の部分が紫がかっている。 とても痛そうだ。 「でも軽い捻挫だから入院はしないと思うの。それで、普通に学校これると思うんだけど 学校で面倒見てあげる人が必要なのね? だから」 「はい!!」 いままで生きてきて一番元気なんじゃないか、とすら思えるほどに元気よくはっきりとした返事をするかがみ。 その目はらんらんと輝いている。それとは正反対に、少し不安そうな目をしているこなたがいた。 「あら、引き受けてくれるのね。じゃあお願いするわ」 そういい残すと、泉家に電話してくるといって、ふゆき先生は保健室を後にした。 残されたのはこなたとかがみ。 「大丈夫なのかな……かがみで」 「な、なんでよ」 「だって……不必要に面倒見そう。おしっこしてる時までトイレの個室の中で待ってたりとか」 具体的でピンポイントな指摘に、かがみは顔を真っ赤にした。 その反応にはいったい、どのような意味が込められているのだろうか。 「そ、そんなことしない!! ……と思う」 「……やっぱり不安だよ」 「……こなたは……私に世話されるの……いや?」 少し涙目になりながら悲しげに言うかがみにこなたは、突き放す言葉を言えるわけもなく…… 「……そんなわけない。うれしいに……決まってるじゃん」 「こなた……」 「治るまでお願いね……かがみ……んっ」 そう言って、かがみの頬にキスをした。 当のかがみは、頬を紅潮させながらも満面の笑みを浮かべて…… 「任せなさい!!」 かがみは何か悟ったのか、こなたまで元気にさせてくれるような笑顔でそう言った。 「そういえばかがみ、悩み事は?」 「ん? あぁ、あれね……なんかもう吹き飛んじゃったわよ……だって、ね」 「え?」 「ふふ、なんでもない♪」 意味深に微笑んだかがみは、ぎゅっと愛しい人を抱きしめて、その唇に自分の唇を重ねたのだった。 ちなみに、うまく身動きを取れないこなたが、かがみにいいようにされてしまうのは ――また、別のお話 【 fin 】 コメントフォーム 名前 コメント GJ! -- 名無しさん (2022-12-21 11 20 34) こなただいじょうぶ? -- かがみんラブ (2012-09-15 05 01 13) 「別のお話」とやらをお願いします。 -- 名無しさん (2012-06-10 21 02 31) 是非これを別の展開で!! -- 八トタ (2010-03-29 23 36 37) 是非別のお話を 読みたいです! -- 無垢無垢 (2009-02-27 00 45 28) べ、別のお話をーーーーーーーッ!! -- 名無しさん (2008-12-02 20 58 52) いい話だなww -- 名無しさん (2008-12-02 03 24 09)
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…どうも最近こなたのことが気になってしょうがない。 寝る時になってもこなたの顔が思い浮かんで、眠れなくなってしまう。 …べ、別にこなたのことが好きってわけじゃないんだからねっ!(この後に及んでまだ言う) で、でもこなたが私に懐いてくるのは、私としては結構嬉しいかも…///…えへへ …べ、別(SS始めます。) 朝、私とつかさが駅でこなたを待つ。 すると、こなたがものすごい勢いで走ってきた。 「か~がみぃっっ!!!」 私に抱きつく。私はもう飛ばない。 「私…かがみのこと大好き!!!結婚しよっ!!子供の名前は『こなみ』でいいよね!!」 ちょっ…あんたいきなり恋愛過程完全無視のハッピーエンドかよ。 それと、子供の名前…無理に私たちから取らなくてもいいんだぞ。 なんだか実況パワフルプロ野球… いや、なんでもない。 さっきのこなたの勢いのとばっちりをくらったつかさが、隅で泣いているのが見えた。 …あとでしっかり慰めてあげよう。が、今はこなたが抱き付いてきたという恥ずかしさと嬉しさでわりとどうでもよかった。 電車の中、こなたは私の膝を枕にして寝ている。 席を二つ分取ってしまうため、満員電車の中つかさが立つハメに。…あとでしっかり慰めてあげよう。 私たちは学校に着いた。 つかさが、いなくなってた。 こなたが言った。 「かがみと…同じクラスだったら良かったのにな」 「うん…私もよ」 お互い寂しそうに笑い合った。 つかさはあとでしっかり慰めてあげよう。 ●1時限目 授業が後半に差し掛かった頃。 突然私の教室の扉が開いた。 皆がその扉の方向を見る。 すると、背の小さい青い髪の少女が立っていた。 しかし、その顔は涙でぼろぼろに濡れている。 「ど…どうしたのよ、こなた?」 「うぅ…か…かがみぃ~~~っっ!!!」 そう言って脇目もふらず私に抱きついておいおい泣き出した。 訳がわからないが、こなたがあまりに切羽詰まってるようなので、私はこなたの頭をなでながら優しく言った。 「何があったの…?こなた…話してみて?」 「だって…だってえ…かがみがいなくて寂しかったんだもん…!!」 …1時限目でそれっすか。 じゃあ、どうやって昨日の晩を過ごした。 てゆうか、今までの高校生活どうしてたんだ。 このとき、私は未来を見ようとはしなかった。怖くて。 ●2時限目 次の時間は、調理実習で、B組との合同授業だった。 私は、嫌な予感がした。 しかし、そんな心配を余所に、こなたは持ち前の手際の良さで、カレーライスと肉じゃがとポテトサラダを2分で作り上げた。 その後は、ずっと私にくっついていた。 その間、こなたはずっと私に「好きだよ」と300回くらい言ったり、ご飯を食べさせたり、腕にしがみついたり、 髪をなでたり、ほっぺにキスしたり、耳をなめたり、胸を触ったり、服を脱がせにかかったり、してきた。 私はその一切を阻まなかった。 でもその後、黒井先生にやたらめたくそ怒られた。いや、確かにふざけてるように見えたかもしれないけど… ちょっと怒り過ぎなのでは?しかも泣いてるし。 怒られてる間、こなたがずっと私を抱きしめたままだったのが原因なのかもしれない。 ●3時限目 今度は、なぜか1年生との調理実習だった。 何故だ。何故に測ったようなタイミングで事が起こる。 ある時、一人の生徒が乱入してきた。 「柊こなたです」 「ちょっと」 私はこなたを嫁に向かえたのか。それはさすがに知らなかったぞ… 「かがみ~ん、だ~い好き!」 こなたは、私に抱きついてきて、頬にキスしてきた。 「こ、こなたぁ、は、恥ずかしいわよぉ…」 こなたが、私とイチャイチャしてくる。 みなみちゃんはゆたかちゃんの目を手で隠している。端から見るとそんなやばいのか。 パティは何か嬉しそうに写真を取っているようだが、ひよりは鼻血を出して悶絶している。大丈夫かしら。 あ…こなたのアホ毛が2本に増えてる。いや、それは関係無い。可愛いとは思うけど別にいい。 「かがみん、大好き。大好きだよ。ちゅっ」 「こなたぁ///…は、離しなさいよ~…!」 いや、まずい。このままではひよりが死ぬ。なんか机に頭を打ち付けてるし。 「かがみ、嫌いなの?私のこと嫌いなの!?」 違う。ひよりが、『マズイ』。自分の顔を火で炙ってるし。 「かがみに嫌われたら…私…やだよぉっ!!」 そんなことない。私がこなたのことを嫌いになるはずはない。でも、ひよりはマズイ。このままではひよりはマジで死ぬ。 排水溝に流されそうになっている。 この時間、私たちの行動で後輩を一人死なせてしまうところだった。 ●4時限目 私のクラスにて。やっぱ扉が開いた。 私は「来た」と思った。 ↑内心「(゚∀゚)キターーーーーーーーーーーーー」 「泉かがみを向かえに来ました」 「こなた…」 今度は私の方が嫁かよ。…いや…なんかもうだんだんそんな気すらしてきた。 昼休みの時間。 こなたと私は弁当のおかずをお互いに食べさせ合った。 いや…だって…それはぁ、こなたがどうしてもって言うからぁ…うふふっ。 お、つかさ。やっと来たわね。何してたの? ●5時限目 今度は、この学校では今までなぜか見たことのなかった2年生との、調理実習だった。ふーん。 つかさはみゆきに慰められていた。 こなたは、いつ来るのやらとハラハラしていたが、ちょっと体を交わらせただけで、すぐに戻ってしまった。 特に事が起こらなかったので、私は安堵したが、ちょっと寂しい気分だった。 …!!べ、別にこなたのことが気になってるわけじゃないんだからねっ! ●そして、6時限目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 全 校 集 会 。 私は考えることを諦めた。 全校生徒がずらっと並んでいる。 こなたはいなかった。 さすがに今日の事があるのか、黒井先生が私とこなたを引き合わせないように、こなたを隔離したらしい。 …ちょっと可哀想だけど、仕方ないか…全校集会だもんね… 校長先生の話が終盤にさしかかった頃、私はふとあることを思い出した。 こ な た が 格 闘 技 経 験 者 だ と い う こ と に。 その瞬間体育館のドアが開いた。 …のではない。ドアが、吹き飛んだ。 「かがみぃ~~~~~~~~~っっっっっっ!!!!!」 …そこまでやるか。正直、うるっときた。 飛ばされたドアが日下部の上に落ちた。しかし私は気にしな(ry) こなたが涙を流して、切ない顔で私の方を見ている。 「こなた…」 私の胸がキュンとなった。私はこなたの方に駆け寄る。 「かがみぃっっ!!!」 「こなたぁ!!」 お互いに走りよって抱きしめる。 「かがみぃ…!!もう…もう、かがみと離れるのやだからねっ!!」 「こなた…ありがとう、ずっと…一緒だからね!大好きよ!!こなた!!」 「うぅぅ…かがみぃ…かがみぃ…!!」 感動のあまり、つかさやゆたかちゃんが号泣している声が聞こえた。 感動して、峰岸に救出を懇願する日下部の声は届かない。 ひよりは…私にはもう見えない。 もはや、全校生徒が感動して、体育館が愛に包まれているようだった。 そうじろうさんまで泣いていた。何故ここに。 もう、こなたのアホ毛が3本に増えてオバQみたくなってるとか、ひよりがとうとう逝ってしまったこと(二日後に蘇生予定)とか、 その後ロッカーから金髪の女教師が出てきたとか、もうそんなことはどうでも良かった。 こなたと一緒にいられるんだから… ハッピーエンド。 コメントフォーム 名前 コメント GJ!笑 -- 名無しさん (2022-12-23 15 43 28) ひよりが.....(笑) -- 名無しさん (2014-08-16 00 48 25) 体育館のドアを吹き飛ばすとは 恐ろしき力!!! -- ブレイブ (2013-01-16 17 39 32) ひ、ひよりがぁ……!!(笑) -- 名無しさん (2009-11-12 19 55 58) なにこれ? -- 名無しさん (2009-11-08 07 39 58) こなたかわいすぎるww めでたしめでたし -- 名無しさん (2009-11-07 20 20 15) 間違い泣くハッピーエンドwwwww でもやっぱひでぇw ひより死亡かいw -- 白夜 (2009-10-13 01 03 38) カオスすぎるwwwwだが素晴らしいハッピーエンドwww -- 名無しさん (2008-12-14 14 26 34) 調理実習多過ぎwwwww これは間違いなくハッピーエンドwwwww -- 名無しさん (2008-06-10 18 14 58) ひでぇハッピーエンドだwwwww そうか!これが愛の力か! -- 名無しさん (2008-06-08 16 50 56) なんちゅうハッピーエンドw -- 名無しさん (2008-06-08 02 36 37)
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こなた仕返し by、佐賀県 「こなちゃんが臭くってさー」 「確かにそれはありますね」 朝の教室、そんな話をつかさとみゆきがしているときだった。こなたが教室に来た。ただし引き戸を蹴りでぶち壊して。 「っらああああああ!! 全員両手を頭の上に重ねて床に伏せろおおおおおっ!!!!」 登校してきた泉こなたの第一声だった。 般若のような形相をして、気狂いのような奇声を上げながら教室の引き戸を蹴り飛ばして現れた人物を見てクラスの全員が固まった。 こなたの手にはモデルガンらしきものが握られている。まさか本物なわけがないが、それでもモデルガンを片手に教室の扉を蹴り飛ばす行為は、多少感覚のズレた人物として有名な泉こなたといえどもまともな行動ではない。 最初に硬直状態から抜け出したのは男子生徒の白石みのるだった。 「ど、どうしたんだよ泉……?」 「シャラップなんだよファックがあ!!」 白石のある種の度胸の良さが災いした。こなたは意味不明のスラングと共に左手に握った改造エアガンの引き金を引いた。 ぱかん。軽い音と共に白石みのるの頭蓋を特注の鉛製BB弾が貫いた。言うまでも無く即死だった。 頭から血を噴き出して倒れた影の薄かったクラスメートの姿を見て、他の生徒たちは完全に硬直した。人間いよいよとなると悲鳴も上げられない。 「てめえらは散々あたしのことを馬鹿にしてくれやがって!! 全員ブチ殺してやんよぁああああああ!!! あっはははっはあははははh!!!」 泉こなたは最近までクラスで非道いいじめにあっていて、先週から不登校になっていたのだった。まさかその期間に家で改造エアガン製作に勤しんでいたとは誰も知らなかった。 「まずはテメエからだ柊つかさ! 人の皮を被った悪魔が! よくも親しい友人を装って散々にあたしを傷付けてくれたな!」 「ゆ、許してこなちゃん……! 私たち友達だよ……もう一度やりなお……」 つかさの言葉はそこで途切れた。こなたの放った鉛の弾がつかさの脚を撃ち抜いたからだ。 目蓋を大きく見開き、声にもならない悲鳴を上げてつかさはその場に崩れ落ちた。そのつかさの姿をこなたは冷たい目つきで見下ろした。 「友達ィ~? あたしをハブって、パシリにして、かつあげして、両手にタバコを押し付けて、他にも色々してくれたよね? それが友達に対する態度だったっての?」 もはやいつものこなたの声調ではなかった。低く地の底から響くような声色で、それでいて深い怒りに震えて、歯を食いしばりながらこなたが今までの恨み言を読み連ねた。 「調子のイイこと言ってんじゃねえよつかさああああ!!!!」 「ひいっ! ごめんなさい! ごめんなさい!! ごめ……あぎゃあああ!!!!」 ぱかん。ぱかん。ぱかん。こなたの左手にあるエアガンから、おもちゃのような軽いコッキング音が連続で鳴った。弾き出された弾はつかさの全身の肉を穿ち、骨にまで食い込んだ。 激痛に咽び泣きながら、床を這って逃れようとするつかさ。その背後からこなたは容赦ない銃撃を浴びせ続ける。その顔は鬼のような形相で、しかし自分を散々に傷付けた相手に対して復讐できる喜びに震えるほどの笑みを浮かべていた。 「た、助けてこなちゃ……いぎィ!? おねがい……あギャアッ!! 痛いよ……助け……あがァッ!! おねえちゃ……ごほっ…………おねえちゃん…………」 でたらめに放たれた弾丸はことごとく急所を外した。虫のように床を這うつかさとこなたの鬼ごっこは教室の端から端まで続いたが、ついに痛みと出血に耐えられなくなったつかさが、その大きな眼を開いたまま崩れ落ち、動かなくなったことで終了を告げた。 その間、クラスメートたちはただただその地獄の光景を見ているだけだった。逃げ出そうと考える者はいなかった。 今までもそうだった。泉こなたがクラスでいじめを受けているときも、ただ傍観しているだけの行為は自らの被害に結びつかない、経験が彼らをそう行動させていた。 だが、ここにその例から外れた存在が一人いた。ウェーブがかったロングヘア、メガネを乗せた顔を恐怖に歪め、ガタガタと震えているのは高良みゆきだった。 逃げなければ。次は間違いなく自分の番だ。だが恐怖で脚が竦んで、もはや立っているだけで精一杯だった。膀こうが空でなければ確実に失禁していただろう。 逃げ出さなければ殺される。しかし逃げ出せばその場で後ろから撃たれる。その恐怖がみゆきを金縛りにさせていた。論理的思考は一切働かない。優れた頭脳も非常事態下においてただ恐怖を加速させるだけでちっとも役に立たない。 「さて、と……それじゃ次みゆきさんの番だね」 落ち着き払った声で、足元から腰までべっとり返り血を浴びたこなたが振り返り言った。人を一人殺した。その後戻りできないところに来てしまった自覚が、かえってこなたを冷静にさせていた。 「あははは、処女より先に童貞捨てちゃうなんてすごいねあたしって……死んでるんだよそこのそれ……もう動かないんだよ…………あははははははははははははははははは」 壊れた人形のような顔でこなたが笑う。体は小刻みに震え、それでも顔は笑っている。 今やこなたを支配するのは怒気と狂気だけだった。そして、そんな相手に命乞いなんて無意味。それよりさっさと背中を向けて逃げ出すべきだ。 しかしまともに追いかけっこをすれば早いのはこなたのほう。運動音痴のみゆきが走って逃げ切れる相手ではない。 「……た、助けて……ください…………。お願いします助けてくださいぃ……!」 結局出て来た言葉は命乞いだった。明らかな無為。しかし最早それ以外に取る方法がなかった。足腰をガクガク震えさせながら、目から大粒の涙をこぼしてみゆきはひたすら命乞いの言葉を繰り返した。 「助けて下さい泉さん! ごめんなさい! 許して下さい! 今までの事は本当に申し訳なく思っています!! お金なら親がいくらでも払います! だから…………」 駄目だ。駄目だ! 駄目だ駄目だ駄目だ!! こんな言葉が通用する場面ではない! 最初にこなたが教室の扉を蹴飛ばしてからまだ時間にして1分も経っていない。しかしもうすぐ他のクラスから人が集ってくるだろう。状況を知った教師らが警察を呼ぶだろう。 そうなれば泉こなたは捕まる。そんなこと本人も最初から承知している。 そしてこなたは逃げ出すことを考えていない。自分をいじめていた柊つかさ、そして高良みゆきを殺したら、後はどうなってもいいと考えている。この場で頭を撃ちぬいて自殺する気かもしれない。 そんな相手に何を言っても通用するわけが無い。そう思っていたが、信じられない奇跡のような事態が起こった。 「…………そう、みゆきさん反省してくれてるんだ。……だったら、みゆきさんは殺さないでおいてあげても、いいかな?」 そう言って、こなたは持っていた改造エアガンを傍らの机の上に置いた。 え? みゆきは事態の異常さを理解できない。なぜ? 自分を助ける? 殺さない? どうして? どうして? 「本当はね。ずっとあの頃に戻りたかった。だから、いくらいじめられても、みゆきさんもつかさも、心から憎いと思えなかった……ただ悲しかった…………ひぐっ……すごく悲しかった…………」 静まり返った教室で、こなたは泣いていた。目から涙をこぼし、返り血にまみれた両手で顔を覆って、泣いていた。 「でも、もう戻れない。そう気づいたときに、今までの悲しい気持ちが、まとめて全部殺意に変わった。……本当はずっとあの頃に戻りたかったのに…………」 こなたは泣いている。嘘でも誤魔化しでもなく、本当に涙を流して泣いていた。 みゆきに背を向けて、おぼつかない足取りで教室の中央に向かって、両手をだらりと下げたままふらふらと足を進める。目線は宙をぼやっと見たまま、嗚咽にむせび泣いていた。本当に、本当にただ悲しそうに。 そのこなたの姿を見ながらみゆきは考えた。 泉こなたは間違いなく異常者だ。今は狂った頭脳がもう一度狂って、わけのわからない感傷に襲われているだけ。いつまた心変わりして自分を殺そうとするかわからない。 そして、この状況下で泉こなたを殺せば自分は殺人者か? いや違う。彼女はすでに人一人殺した犯罪者。そして自分も殺されるところだった。正当防衛の成立余地は十分にある。 だからもし仮に自分がこの場で泉こなたを殺しても、警察は自分を逮捕しない。なに、もし面倒なことになれば親が金でなんとでもするだろう。 思考1秒、みゆきにさっきまでの恐怖はもう無い。全て吹っ切れた。みゆきは笑いを堪えるような表情で目を細め、机の上に置かれていた、つかさを殺した改造エアガンを手に取った。 銃口をこなたの背中に向けた。クラス中の人間が息を呑んだ。そして、なんのためらいもなく、みゆきはその引き金を落とした。 かしゃん。乾いた音が鳴った。 「…………やっぱり……だめだよね…………」 こなたは、みゆきに背中を向けたまま。低い声で言った。 「……えっ!?」 みゆきは動揺した。もう一度引き金を絞る。かしゃん。弾は発射されない。 かしゃん。かしゃん。かしゃん。何度やっても同じだ。空撃ちの乾いたコッキング音が鳴るだけ。弾切れだ。弾装に弾が一つも残っていないのだった。 「…………嘘は言ってないよ。あの頃に戻りたい、それは本当の気持ち……私をいじめてた人間は憎くて憎くて仕方が無い……でも、『つかさ』や『みゆきさん』が憎いんじゃあない…………本当に、殺したくなんてなかった…………」 そう言いながら振り返ったこなたの目には光が失われていた。全てをあきらめたように、黒く濁った目でみゆきを見て、懐からもう一つ改造エアガンを取り出した。 「さよならみゆきさん…………私もすぐ行くから。もしあの世で……会ったら……また仲良くできるといいね」 とめどなく溢れる涙に溺れるように声を詰まらせながらこなたは言った。 もう全ておしまい。いや、本当はとっくの昔に終わっていた。だけど気づきたくなかっただけ、私たちはまだ仲良しなんだと、自分だけが思っていたかったのだ。 その勘違いを終わりにしよう。そう思って、こなたは引き金を絞った。 びしゃ。教室の窓ガラスが赤く染まった。額から後頭部までを貫いた8mmの弾痕、そこから噴水のように赤い液体が噴きだした。みゆきの体はその場に崩れ落ちた。 そしてすぐにまた同じ音が鳴った。今度は机が赤く染まった。その傍らにこなたの小さな体が横たわっていた。長い髪を赤に染めてなお頭からだくだくと血を流していた。 血に染まったその机は、ここ数日座る者の無かった、泉こなたの席だった。 いつもここにみんなで集っていた。4人で他愛のない話に花を咲かせていた。 もうあの日々は戻ってこない。血で汚れた机は教室から撤去されるだろう、同時に、誰の記憶からも失われていくだろう。そのうち、誰も思い出さなくなるだろう。 この席の回りはいつも明るかった。素朴に、しかしはっきりと輝いていた。 星のように。 『夕方のニュースです。今日午前8時過ぎ、埼玉県陵桜高校で銃乱射事件が発生。18歳の女子生徒が同級生の柊つかさ、高良みゆきの2人を改造エアガンで射殺し、その後自らもその銃で頭を撃ち抜き死亡した模様です。警察は事件に対し…………』 完
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こなたとモヤモヤ なんだろ?なんかモヤモヤする。 ベッドに寝そべり、寝ようと思ったけど眠れない。 まぁ、本当は原因なんてとっくに分かってるんだけどね。 まったく、なんでこう最近はかがみの事ばっかり頭に浮かんでくるのか…。 おかしいなぁ、私にはそういう趣味は無かった筈なんだけどな~…。 いっそかがみに告白してみる?いや、やっぱ駄目駄目。断られるに決まってるじゃん?なにを考えてるんだい私よ。 「まいったなぁ…明日起きられるのかなコレ?」 時間はもう深夜。 そういえば、なんかアニメは…あ~ハイハイやってませんね分かってましたよ。 「あ~…まぁ、アレだよ。このままでいいでしょ?」 そう、私が何もしなければ誰も傷付かない。私も、かがみも。 いやいや、そんなん嘘っぱちでしょ?ただ単に、拒まれたくないだけじゃないの?ただ…私が傷つきたくないだけでしょ? うん、否定出来ないネ。そこは素直に認めとくけど、それなら私はどうすれば良いと? このままでいれば、ゆる~い空気の中でずっと馬鹿やってられるし…ホラ、やっぱり変える必要も、変わる必要もない! 今までがそうだったし、これからだって今まで通り出来るよ。 ハァ…やっぱ今のまま…か。それはそれで苦しいけど…でもいっかな? ―――翌日 「お~すこなた。あんたがこんな早く起きてるなんて、なんか意外ね?」 「んぁ?なんだかがみんか。つかさは?」 「つかさは今日休み…ってなんだ?私じゃ不満か?」 犬歯を出して、頬を引き吊らせるかがみ様。 「おぉ恐っ!かがみ狂暴~♪」 「朝っぱらから大声で変な事叫ぶな!」 ……やっぱり、コレで良い。 いつも通り、こんなやり取りをやってれば…。…って、かがみ。なに驚いてんの? あれ?ていうか視界が… 「こ、こなた?アンタどうしたの?」 はい?それ、私が訊きたいんだけど。 本当に私はどうしてしまったんだろうか? 「あ…いや、私は別に本気で怒ってる訳じゃないのよ?ただ、いつものノリっていうか…ねぇ?」 かがみが慌てながら必死に取り繕ってくれてるけど、私の視界は歪んだまま。 あぁ、私、泣いてるんだ。 何で?何でだろ?あ、そっか…どうしようもないくらい、好きになっちゃってたんだね…かがみの事が。 「ちょっと…目にゴミ入っただけだよ」 私の嘘吐き…。 続く? コメントフォーム 名前 コメント 続かせるんだー!! -- 名無しさん (2023-06-02 11 21 06) 続けー!! -- 名無しさん (2010-07-29 12 19 02) 続きをー モ ヤ モ ヤ -- 名無しさん (2009-01-04 03 48 00) おいおい、『続く?』じゃなくて『続け!!』です。 作者殿、お願いします。 -- kk (2009-01-03 18 37 16)
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こなた18スレ目作品 18-78 18-79 18-117 18-161 18-211 18-212 18-213 18-236 18-241 18-261 18-273 18-291 18-320 18-335 18-412 18-439 18-691 18-712 18-716 18-771 18-803 18-806 18-811 18-820 18-821 18-846 18-850 18-851 18-855 18-862 18-880 18-885 18-898 18-910 18-958 18-965 18-967 18-974 前 戻る 次 メニューへ
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こなた17スレ目作品 17-52 17-63 17-134 17-140 17-325 17-327 17-354 17-374 17-389 17-406 17-418 17-435 17-436 17-437 17-440 17-450 17-485 17-504 17-505 17-555 17-565 17-572 17-624 17-647 17-672 17-701 17-702 17-756 17-795 17-797 17-804 17-838 17-840 17-860 17-863 17-953 17-964 17-972 前 戻る 次 メニューへ
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「こなたにいる」 ずっと遠くにあると思っていたものが急に近づいたとき。 本当は、最初からすぐ近くにあったものなのかもしれない。 いつもそばにある大切な何か、ほんの少しでも離れると生きていられなくなる何か。 空気、水、食べ物、服、家、他にもいくらでも考えつく。 でも、欠かせないものたちから恩恵を授かっている人々のどれくらいが、 その「何か」に生かされることの幸せに感謝できているのかな? 私も人のことは言えないけどね。 だって、今まで何も気づいてなかったんだもの。 いつも自分の隣にいてくれると勝手に信じこんでたあいつが 一日でも、一時間でも、一分でも …… いなくなったときになって、 ようやく胸を騒がせる苦しみの正体を知ることができたんだから。 幸せを運ぶ青い鳥。 別に、あいつの髪の毛が青いからなんて単純な理由じゃないわよ。 あの童話と似てるって思っただけ! 知ってる人は知ってるかな、いや、結構有名ね。 前につかさが読んでて、そういえばどんな話だったかしらって気になって なんとなく手にとってみたのよ。 子供のお遊戯みたいな話かなと思って初めは正直バカにしてたけど、 ページをめくる手が止まらなかった。 そこらに売ってるライトノベルの十倍も百倍も面白いかもしれないなんて思ったりもして。 意外と早く読み終わったかしら …… 普通の小説じゃなくて、脚本として、 いわゆる「ト書き」ってやつね、それで書かれてるおかげかもしれないわね。 ――青い鳥はすぐ近くにいた。 すぐ近くにいたのに、チルチルとミチルは幻想の世界で必死に探し求めた。 あの時の彼らには、自分たちのそばにあった鳥かごに 年単位の時間をかけて探してきた特別な存在がいるとは気づいていなかった。 ――結論だけ要約してみると、メルヘンチックな話ね。 あんまり本を読まないつかさが好きになるのも分かる気がするわ。 仮にも自称現実主義の私が、どうしてあんなに夢中になっていたのかしら。 今から思うと、やっぱり自分の立場に近いものを感じていたから? 本当に似てるわね。 あいつこそが幸せを持ってきてくれる存在、いえ、ずっと私にとっての幸せそのものだったのに、 誰も気にしないくらい短い間離れ離れになっただけで、必死に切なさの理由を求めていた。 でも、違うところもあった。 おとぎ話と現実が近づくことはそこまであるわけじゃない。 あの兄妹は素直で純粋だった。 だから、かごの鳥が青い鳥だと知って、そのまま幸せになれた。 私ははっきり言って素直じゃない。 大切なときに素直になれない。 分かりかけても、認めることができなかった。 親友として接してきたあいつに、まさか、そんな気持ちを……! 自分自身に備わってきた理性の目はおかしいと言っているのに、 世間からも間違いなく見捨てられる異常な想いなのに、 どんなにこの感情を抑えようとしても心の霧は晴れなかった。 もう一つ、こんなことを言ったらメーテルリンクさんに悪いけど。 あの話に出てきた青い鳥は、私たちが何もしなくても無条件で最大限の幸せを与えてくれるはず。 見つけるまでの過程は本当に大変だけど。 でも、私の青い鳥はそうじゃないの。 求めなくても少しずつは幸せをくれるけれど、私はより大きな幸せを求めそうになる。 そのどうしようもない欲が、積もり積もって苦悩を生み出す。 もしも、一度求めてしまったなら。 確かに、この上ない幸せがやってくるかもしれない。 それなら私は大歓迎、すぐにでもそうしてやるわよ。 この世界はそう甘くない。 自分の感情をさらけ出した瞬間に青い鳥は逃げてしまうわ、きっと。 一度遠ざかった鳥は、二度と帰ってこない。 私は最悪の結末を恐れている。 少しずつ幸せを積み重ねて、少しずつ悩みを積み重ねて。 これでいいの、大きな幸せを受け取り損ねて絶望するよりは。 大体、青い鳥にも幸せになる権利があるじゃない! どうして私が勝手にそれを奪えるの? 友達だと信じていたから私と笑いあえていたあいつを裏切るなんてこと、絶対にできない! ごめんね、私って……本当に、おかしな女の子だよね。 あんたの知らないところで想いを寄せて、 髪の色と童話の最後を無意味に重ね合わせて、 勉強も手に付かないほど、涙も出てくるほどに……あれ、涙……? どうして、いつから私はこんなに弱くなったんだろう。 開いたままの参考書に染みた一滴を見つめる。 一滴が二滴、三滴に増えるのを見つめつづける。 シャーペンを持った左手に力が入らない。 この瞬間私のもとに青い鳥が飛んできても、どうすることもできない。 ただ本心をひた隠しにして、行くあてのない感情を巡り巡らせ、孤独の中ですすり泣くだけ。 近くにある幸せを幸せとすら思わないことのできる幸せが、 近くにある幸せにそれ以上近づくことのできない苦しみに変わったときから。 それでも、今すぐに飛んできてほしい。 近くにいることを確かめるだけで、不安が少しは消えてくれるから。 扉の開く音と、聞き慣れた呼び声が耳に入る。 鍵、閉め忘れてたのね……私ってば、本当に……。 私への電話を知らせる声、教えてくれたつかさに感謝の一言。 二十分くらい前から、つかさはずっと呼びつづけていたみたい。 気づかなかった。 それくらい前から着信音が鳴りつづけてた、違う、鳴っては止んでを繰り返してた、ってことよね。 信じられないくらい重症ね、誰が治してくれるわけ? まったく。 つかさは参考書の涙に気づいたかしら。 どう笑顔になっても、私がさっきまで泣いてたことは隠せないかも。 いや、もしかして、今でも……? 私は受話器を取った。 つかさはそのまま部屋を出た。 声。 離れていても、確実に温もりを伝えてくれる声。 紛れもないあいつの声。 ――飛んできた。 何よりも先に私を気づかってくれる声。 つかさに呼ばれたからと、私に許可を求める声。 あいつが私の家に近づいていることを知らせてくれる声。 ――飛んでくる。 着替えよう。 涙を拭こう。 あいつと同じ笑顔になろう。 恥ずかしくないように、私とつかさの部屋を片付けよう。 参考書を閉じて、勉強を一時忘れて、近づいてくる幸せ、 幸せ自身からこぼれだす幸せのかけらに期待しよう。 そして、持つべきものは妹だ。 あの子はいつも鈍いけど、時々妙に鋭いところがある。 他の人とは違う感性が磨かれているのかしら? 私の感情にも、ずっと前から気づいてたり、なんてね。 私を生かしてくれる青い鳥。 「泉こなた」以外の誰にも替えられない、何よりも近い存在。 ここにいてくれるだけで、何よりも特別な存在。 いつになるか想像も付かない、いつになっても叶わないかもしれない。 それでも私は一つの願いを持ち続ける。 青い鳥が分けてくれる幸せが、青い鳥と分け合える幸せに変わるように、という願いを。 呼び鈴が、一鳴り――。 (おわり) コメントフォーム 名前 コメント GJ!!(≧∀≦)b 台詞が無くても情景が分かるの凄い -- 名無しさん (2023-01-06 03 30 53) GJ -- 友生 (2011-01-25 04 13 40)
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あの後、私は事の全てをけんたに話した。 「…そうか、そんな事があったのか」 それを聞いたけんたは、私を怒るでも無く、神妙な面持ちで話を聞き入っていた。 「怒らないの?」 「怒ってどうするんだよ…。別に、かがみがその子とキスしたくてした訳じゃないんだろ?」 「それは…そうだけど…」 「なら、俺はそれで構わないよ。逆に、それで変に負い目を感じて、さっきみたいな事をして来た方が俺には辛いよ」 「うん。ごめん…」 「…あとさ、一応、その子とも仲直りしといた方が良いんじゃないかな?」 「別に…。あいつの事なんか、どうでも良いわよ……」 私がそう言うと、けんたは困ったような微笑みを浮かべて、「後悔だけはするなよ」と呟いた。 「ふとしたことで~こなたのいない日常~」 それから1ヶ月近い間、私がこなたと会う事は一度も無かった。 毎日の登下校でも会わなくなったし、私も学校で、同じクラスのつかさやみゆきに用事がある場合は、携帯電話を使って呼び出したりするようになっていた。 二人共、今回の事情を知っているから、私の行動に対して、特に何かを言ってくるような事も無かった。 最初の頃はそれで良かったのだ。 私の方も、まだ気持ちの整理も付いてなかったし、悪いのはこなたの方だと思っていたから、時間が経てばあいつの方から謝ってくると思っていた。 そして、こなたが謝ってきたら、それで全てを水に流して、また今まで通りの関係に戻ろうと心に決めていたのだ。 しかし、一週間経っても、二週間経っても、こなたは私の前に姿を現そうとはしなかった。 「そーいや、最近の柊はずっとこっちの教室に居るけどさ、なんで隣の教室に行かねーんだ?」 ある日の昼休み、いい加減私の行動に疑問を感じたのか、大好物のミートボールを口に頬張りながら、日下部がそんな事を私に聞いてきた。 「い、いや、私も、あまり自分のクラスの友達を蔑ろにするのは良くないと思うようになって、というか…」 「そりゃ嘘だな。今頃になってそう思ったとしても、一度も隣の教室に足を踏み入れないなんてありえねーよ」 「そっ、それは…」 「どーせ、あのちびっ子とケンカでもしたんだろー? 柊がウチのクラスに残るようになってから、一度も会ってるとこ見てねーもん」 「うっ……」 そこまで言われると、誤魔化す隙も見当たらない。 「まっ、あたし的には柊がこのままこの教室に残ってくれた方が、全然良いんだけどなっ!」 「みさちゃん、柊ちゃんだって悩んでるんだから、軽々しくそういう事を言っちゃだめよ」 「ぶーぅ」 峰岸に注意され、頬を膨らまして不満の声を上げる日下部の姿を見て、「子供かお前は!」と突っ込もうかとも思ったが、肝心の私の気持ちにギアが入らない。 「…でも、柊ちゃんもそろそろ仲直りした方が良いんじゃないかな? 私達と話をしてる間も、時々寂しそうな顔をする時があるから…」 「うん……」 「心配しなくても大丈夫だって、柊。あたしも昔、あやのが大のお気に入りだったぬいぐるみにコーヒー牛乳ぶちまけちゃって、マジで大ゲンカした事があったけど、割と真剣に謝ったらすんなりと許してくれたしな。ケンカしても友達ならそんな程度で許してくれるってば!」 「みさちゃん…。それは確かに許しはしたけれど、私は未だにあの事で傷ついてるんだよ…?」 「げっ!?」 峰岸の出す怒りのオーラに、本気でたじろぐ日下部の姿を見ながら、私は峰岸に言われた言葉を反芻していた。 正直言うと、今この段階で、最初の頃に築き上げられていた私のあの強硬姿勢は、こなたに会えない寂しさと、いつまで経っても謝りに来ないという不安の感情で既に瓦解し切っていた。 ――かがみんは、寂しがり屋のツンデレキャラだよね――。 私達が仲良くなって間も無い頃、こなたにそう指摘された事を思い出す。 その時は、ムキになってそれを否定していたけれど、今になって思えば、そんな早い時期から私の本質を見抜いていたこなたの洞察力には敬服せざるを得ない。 だからこそ、一刻も早く私の元に謝り来て欲しい。 私は、仲直りしたくても、なかなか自分から素直に言い出せない人間なのだから――。 § その日、職員室に用事があった私は、職員室前の廊下でこなたと遭遇した。 約一ヶ月ぶりに見たこなたの姿に、私の心臓は大きく跳ね上がる。 どうやらこなたは私の存在にまだ気づいていないようで、束になったプリントの一枚を読みながら、こっちへと歩いてきていた。 こなたの姿を見た瞬間、私の中にあったくだらないプライドは、どこかへ飛んでいってしまった。 こなたと仲直りがしたい。そのきっかけが私からでも良いじゃないか。 そう決意した私は、ゆっくりと、しかし確実にこなたへと近づいていく。 張り詰める緊張感と、高まる期待。 こなたはずっとプリントを見つめたままで、私に気づく素振りを全く見せない。 このままじゃ、そのまま何事も無くすれ違っちゃうだけじゃない! 痺れを切らした私は、こなたとすれ違う寸前、こなたの目の前で立ち止まった。 第一声はなんて声を掛けよう? 私の頭に一瞬だけ過ぎったそんな考えは、次の瞬間、私を振り払うかのように走り出したこなたによって、無意味な物へと変容した。 「あっ……」 私の口から咄嗟に出たのは、そんな間抜けな一言だけ。 その一言すらも、見る見る内に走り去っていってしまったこなたの耳には聞こえていなかったに違いない。 しかし、そんな事すらも今の私にとってはどうでも良いことだった。 こなたが私を避けた……。 なんで? どうして? 私が今でも怒ってると思っているから? 私が絶交だって言ったのを本気で受け止めてるから? そこまで考えて、ようやく私は最悪の可能性がある事に気付かされた。 ひょっとして、こなたはもう私と仲直りする事を望んでいないんじゃないか…と。 今までの人生の中でも、経験した事の無いレベルの悪寒が私の体を駆け巡った。 私はその考えを必死に振り払おうとした。 …でも、否定しようとすればするほどに、それを証明出来るだけの理由は、どこを探しても見つからなかった。 § 「…お姉ちゃん、大丈夫? さっきからずっと問題も解いてないみたいだし…」 その言葉によって、ようやく私は思考の波から抜け出した。 今まで虚空を見つめていた私の瞳に映ったのは、白紙のままの問題用紙と動かないシャープペンシル、そして、心配そうに私を見つめる妹のつかさの顔だった。 「えっ…? あっ、ごめん。どうも今日は勉強に身が入らなくて…」 テスト直前という事で、こうして家でつかさと一緒に勉強をしているのにも関わらず、私の頭は今日のこなたの事で全ての容量を使われてしまっている。 「ん~、まだ日にちもあるんだし、出来ない時はあまり無理をしない方が良いんじゃないかな?」 「そうね…。今日の所はそうするわ…」 私がそう言って、教科書とノートを閉じると、つかさの方も同じように勉強道具を片付け始めた。 「あんたも今日は終わりにするの? まぁ、良いけど…」 「えへへへ…。じゃあ、私、部屋に戻るね」 「あ、待って、つかさ」 そうはにかんで、自室に戻ろうとするつかさを私は呼び止めた。 「どうしたの? お姉ちゃん」 「あのさ…、最近のクラスの様子はどう?」 「…こなちゃんの様子が気になるんだね?」 「……うん」 珍しく勘の良いつかさに、私は白旗を揚げてそう頷くと、つかさの表情がそれまでの穏やかな物から、強い決意の篭ったものへと変化した。 「…お姉ちゃん。いい加減にこなちゃんと仲直りしようよ」 「……」 「…このままじゃ、こなちゃんも、お姉ちゃんもずっと不幸な気持ちのままになっちゃう」 「そんな事…言われても…」 私だって本当は今でもそうしたいと思ってる。 でも、もしも、あの時私の頭に過ぎった最悪の可能性がこなたの本心なんだとしたら、その選択肢を取る事が果たしてお互いの為なのだろうか? 「お姉ちゃんが、うんって言ってくれたら、私はいつでも二人っきりで話が出来る機会を作るから、ねっ?」 釈然としない私の受け答えに、つかさの口調が段々強くなっていくのが分かる。 つかさが思っている程、この問題は簡単に解決出来る物なんかじゃないのに…。 「お姉ちゃん。黙ってちゃ、私どうしたら良いのか分からないよ…」 思い通りにならない日常、そして、強引に私達の仲を取り持とうとする妹の姿を目の当たりにして、私の中でつかさに対する反感が蓄積されていく…。 「ねぇ、お姉ちゃ――」 「うるさいっ!!」 それでも食い下がろうとするつかさの言葉を私は大声で遮った。 突然の大声に、ビクリとするつかさを尻目に、理性の箍が外れてしまった私は、自分の感情をオブラートにも包もうとせずに一気に捲くし立てる。 「…人の気持ちも知らないで、自分の都合でどうこうしようなんて思わないでよっ! 別にあんたにとっては私とあいつがどうなろうが関係無いじゃない! そう勝手に自分の都合で仲直りしようなんて決められても、ハッキリ言って迷惑なだけなのよっ!!」 言い切ってからしまったと思った。 ……でも、もう遅かった。 「……ぐずっ…ひっく…」 そこには、既に私に怒鳴られて涙を流すつかさの姿があった。 脳天まで上っていた血の気が、さあっと引いていくのが自分でも良く分かる。 「……あ、あの、つか――」 「お姉ちゃんの馬鹿っ!」 なんとか、その場を取り繕うと声を掛けようとした私に返って来たのは、つかさの罵倒と、走って居間を出て行く大きな足音だけだった。 つかさにとって、私とこなたの事が無関係な訳が無いのに……。 妹の出してくれた助け舟を私は無下にしてしまった。 「…姉失格だな。私……」 そんな私の後悔の呟きが、つかさの耳に届くことは無かった。 § 「…つかさから聞いたよ。あの娘の事で喧嘩したんだってな」 「うん……」 携帯電話越しから聞こえるけんたの声は、「ほら見ろ、言わんこっちゃない」とでも言いたげなニュアンスだった。 「結局、まだ仲直りも出来てないんだろ?」 「うん。でも、今はそうしなかった事を心の底から後悔してる…」 私が変な意地を張り続けたことで、こなただけじゃなく、つかさにも迷惑を掛けたのだから、本当に自分自身が情けなくて仕方がない。 「まぁ、かがみが素直になれないのは今に始まった事じゃないからな」 「ねぇ、けんた。覚えてる? あんたが転校する少し前に私達が大喧嘩したこと」 「ああ。良く覚えてるよ。というか、それは俺のトラウマだ」 「私もよ。……あの時、ほんの些細な事で喧嘩になって、怒った私が最後に『あんたなんか居なくなっちゃえば良いんだ!』って言って家に帰ったんだよね」 「ちょうど、夏休みが始まってすぐの話だったよな。お互い学校なんかで会う機会も無かったから、あの時の喧嘩はかなり長引いたんだよな」 「うん。本当は私、すぐにでもけんたと仲直りがしたかった。でも、自分からそれを切り出すのが妙に恥ずかしくて、結局夏休みが終わるまでそれが続いたの」 「…それで、学校に来てみれば、俺が急な引越しで転校してた訳だ」 「ショックだったわよ。居なくなっちゃえば良いって確かに言ったけど、本当に居なくなるなんて思ってなかったから…」 「悪かった。俺も、変に対抗意識を燃やして、結局最後まで言わずじまいだったからな…」 「けんたが向こうに行って随分経ってからも、『なんで私はあんな事言っちゃったんだろう』ってずっと後悔してた。だから、もうこんな思いは二度としないようにしようってずっと心に決めてた。それなのに……」 私の目からポロポロと涙が零れ落ちていく。 「ごめんね…。私のせいでこんな暗い話になっちゃって」 「いや、気にしないでくれ。多分、俺にも原因がある事だからな…」 「そんな…けんたは悪く無いわよ」 「いや、俺にも悪い所はあるよ。…だから、罪滅ぼしをさせて欲しいんだ。イヴの日に」 「えっ?」 「ランドの24日のパスポートを取ったんだ。……ベタなチョイスだけど、付き合ってくれるかな?」 「うん。分かった」 正直、今の私は全くと言って良いほどそういう気分にはなれないのだけど、ずっと沈んだ気持ちままで居る訳にもいかないし、けんたも私の事を考えてそういう話を振ってくれたのは良くわかるから、私は素直にそれを了承した。 クリスマス・イヴまであと3週間。 もしも、サンタクロースが実在して、私の願いを叶えてくれるとしたら…。 私は一体、何を望めば良いのだろうか――? 救済へ コメントフォーム 名前 コメント (T ^ T)b -- 名無しさん (2023-06-22 07 35 25) 投票ボタン(web拍手の感覚でご利用ください)
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こなたランナー by 14-470 ピーッ 5限目の運動場を、ホイッスルの音が響く。 その音と共に、私は駆け出す。 100メートルは、長いようで走ると短い。 「15秒68。こなちゃん早いね」 ストップウォッチを持っていたつかさが言った。 「ふぅ~疲れた。ちょっと休憩してくるね」 「うん」 私は、グラウンド脇の階段に座った。 何故だろう…頭がふらふらする… バタッ 「あれ?こなちゃん?こなちゃん!」 ─あれ、ここは… 「こなちゃん!」 「泉さん!」 「おう、泉。気いついたか」 目の前に、先生とつかさとみゆきさんが居た。 私の頭には、冷えたタオルが置かれていた。 「あ、あの…ここは…」 「ここは保健室や。泉にしては珍しいもんやな。」 「こなちゃん。心配したよ!」 「泉さん、あまり驚かせないで下さいね…」 「うん。ごめん、つかさ、みゆきさん、先生」 その日、私は放課後まで寝ていた。 放課後になると、かがみんも心配してくれた。 「こなた。大丈夫?倒れたんだって?」 「うん、運動不足なのかな」 「こなちゃん、体力自慢なのにね」 「確かにそうですよね」 まだ頭はふらふらする… 私は、家に帰った。 その日は、すぐに寝た。 翌朝起きても、なかなか気分が優れない。 その日は一日中ぼーっとしていた。 「こなちゃん、帰るよ?」 「あ、うん」 「最近調子が乗らないようですね」 「いやぁ、何だろうね。やっぱり体動かさないとだめなのかな」 その日、私は病院に行った。 「診たところ、特に異常は見受けられませんが、 これ以上症状が出るようでしたら、 市民病院にでも行かれてみてはどうですか?」 「はぁ…」 家に帰ると、お父さんが出迎えてくれた。 「こなた…大丈夫か?」 「うん。これ以上症状が出たら、 市民病院に行った方がいいって」 「そうか…何か重い病気なのかもしれんな…」 「お、お父さん…やめてよ」 「冗談だって!こなた。異変が起きたらいつでもお父さんを呼ぶんだぞ? 何があっても駆けつけるからな」 お父さんは、両手を私の肩に乗せて言った。 「うん。そうするよ!」 その日も、私はすぐに寝ることにした。 どうも頭が痛いというか、 たまに眩暈のような視点のぐらつきが起こる。 やっぱり明日、市民病院に行こう。 お父さんの言うとおり、本当に何か 重大な病気なのかもしれない。 確かめるまでは、気になって仕方がない。 とりあえず学校は休んで。 翌朝、私とお父さんは車で市民病院に行くことにした。 病院では特に精密な検査はされなかったが、 頭のレントゲンだけは撮られた。 「今のところ、特に脳に異常は見られませんね… 2、3日様子を見て、また来てください。 その時にまだ違和感があれば、再検査しましょう」 「はい…」 そして、私とお父さんは一先ず家に帰り、 私はその日はゆっくりとベッドに寝ていることにした。 夕方、お父さんは念のために頭痛薬を買いに行った。 お父さんが出て行ってから数分後、玄関のチャイムが鳴った。 ドアの小窓から覗くと、かがみんとつかさとみゆきさんが居た。 私は、ドアを開けた。 「やあ、みんな」 「やあみんなじゃないわよ。どうして来なかったのよ」 「いやぁ、まぁ…なんか頭痛くてさ」 「こなちゃん、頭痛いの?」 「泉さん、これ今日もらったプリントです」 「あ、ありがとう。えーと…『市内マラソン大会』?」 「そう。今年から始まったらしいの。あんたは出るの?」 「いやぁ、どうだろうね。何キロくらい走るの?」 「20キロくらいでしょうね」 「ひぇえ…」 「こなちゃんなら走れるんじゃない?」 「そ、そうかな…?」 「まあいいわ、今日はこれで。じゃあね、こなた」 「バイバイこなちゃん」 「さようなら、泉さん」 「うん、バイバイみんな」 市内マラソン大会。 参加は自由。 来月開催…か。 疲れるだろうな… でもまあ、今はこの頭を治さないと… しかし、私の頭は治るどころか徐々に痛さを増し始めた。 お父さんに買ってもらった頭痛薬を飲んでようやく落ち着くと、 そのまま寝てしまった。 明日には治まってくれることを願いながら… 翌日になっても、やはり頭は戻らず、 頭痛薬を飲むのが日課になりつつあった。 今日は、学校に行こう。 「みんな、おはよう」 「おっす、こなた」 「おはよう、こなちゃん」 「おはようございます、泉さん」 ここまではデフォルト。 「泉さん、もう治られたんですか?」 「まあ、一応ね」 「まさか仮病じゃないわよね?」 「そ、そんなわけないじゃん!」 「あははは、どんだけ~」 先生が入ってきた。 かがみんは急いで自分のクラスに戻った。 「はーい、席つきや~。ホームルーム始めるで~って 泉!?お前お父さんがえらい大袈裟に言うてたにしては すぐに復活しとるやんけ」 「あ、いや、あはは」 「さては仮病でも使ってゲマズでも行ってたんか?」 「ち、違いますよ!」 クラスに笑いが響き渡った。 そして、今日の授業は始まる。 学校は、やっぱり楽しいな。 学校が楽しくなったのは…いつ頃からだったっけ。 小、中学生と共に、学校で楽しい思い出なんか 一つもなかった。 あの頃に比べたら… 今の私は充実した毎日を過ごせているのかもしれない。 そして、その日の授業も終わり、私は家に帰る。 しかし、その時から頭に何か違和感があった。 重力場が安定しないような、今までよりも酷い眩暈が… 私は、ベッドに倒れた。 頭だけじゃない…何だか熱っぽい… メールすると、お父さんが帰って来て、 即座に市民病院に連れて行ってくれた。 そこで、私はレントゲンを再び撮られ、 CTスキャンにまでかけられた。 私は、熱が治まるまでは入院することになった。 今日の検査の結果は、少し先になるらしい。 私は、白い空間に一人残され、お父さんは帰ることになった。 後ろ髪を引かれる思いだったに違いない。 私も、孤独は辛いものだと一番良く分かっていた。 再びやってきた孤独。 私に以前降りかかってきた孤独は、 なかなか去ってはくれないものだった。 いくら嫌がっても、襲ってくる。 人間一人だと生きて行けないのは分かってる。 出来るだけ早く開放されたい… 私は、ぐっすりと病床で休むことにした。 翌朝、目を擦りながら起きると、 看護婦さんがカーテンを開けていた。 今日は清々しく晴れていた。 もう12時か… これだけ寝てもまだスッキリしないのは、 多分頭痛のせいだろう。 看護婦から頭痛薬を貰い、飲むことにした。 頭痛薬を飲むと、少し身体が楽になった。 熱はまだあるようなので、再び眠る。 その日、かがみん達は家に来なかったらしい。 私は、次の日に熱は下がったので、 一先ず夕方に病院を出ることにした。 お父さんが迎えに来てくれるまでは、 病院のロビーで座ってテレビを見ていた。 そして、お父さんは今日は道路が混んでて 電車で来たと言っているので、電車で帰ることにした。 無論、電車も混んでいた。 見渡すと、周りはキャラものの服を着た男の人ばかりで、 目の前に居た男の人が持っている沢山の紙袋の中には、 まさに同人誌やフィギュアそのものが入っていた。 そうか、昨日と今日にかけてイベントがやってたのか。 私は、男達の汗で湿度の高い電車の中で カーブの度に荒波に揉まれた。 そして、15分ほど経って ようやく私とお父さんが降りる駅が近づいてきた。 私とお父さんは、電車のドアの方に近づいていく。 そして、ドアが開くと同時に人が溢れ出す。 もちろん、ここで降りるわけでもない人々も一緒に押し出されるわけなので、 一気に鮨詰め状態になる。 私達も、一気に押し出されたわけだが、 私の目の前に居た人の方が強く前に押し出されていた。 ふと、後ろを振り向くと、紙袋が2つ程落ちてあった。 人々の流れに逆らい、紙袋を覗くと、 中には先程と同じものが入っていた。 恐らく、さっき私の目の前に居た人のものに違いない。 私は、2つの袋を持って改札へ走った。 さっきの男の人に届けなければ。 「こなた!どこ行くんだ?」 「ちょっと、落し物みたいだから届けてくる!」 「分かった。無理するなよ?」 私は、ホームを走った。 階段を登り、改札にたどり着き、 さっきの男の人が着ていたキャラものの服を探す。 比較的すぐにあたふたしているその人の姿を見つけたので、 見つけるのは容易だった。 私が手渡すと、その人は泣きながらお礼を言ってくれた。 いいことをした後は気分がいいね。 でも、少し頭が痛くなっちゃったな… 「よう、こなた。落し物は渡せたか?」 「うん!」 「よかったな、こなた」 そして、私達は家に帰り、 私はすぐに寝ることにした。 明日は、学校へ行こう。 翌日、私が学校に来ると何か違和感を感じた。 頭の違和感ではない。 教室の雰囲気である。 蔑むような目つき、嫌な視線が私を貫く。 特に気にしないことにした。 「つかさ、おはよう」 「あ…おはよう、こなちゃん」 「みゆきさん、おはよう」 「…おはようございます、泉さん」 二人とも元気がない。 仕方なく私が席に着くと、 男子生徒が数人私を囲んで口々に話し始めた。 「なあ、泉。お前一昨日からイベントに行ってたらしいな」 「えっ…?」 嘘…どこからそんな話が? 「先生が言ってたんだ。一昨日からイベントだってな」 「隠さなくていいぜ、ちゃんと証拠はあるんだしな、ほら」 男子の一人が、私の眼前に携帯を突きつけた。 見ると、私が雑踏の中で紙袋を二つ持って走っている姿が 克明に写っていた。 「こんなオタク紛れに紙袋二つしょってさ…」 「ち、違うよ…これは…落し物を…」 「だーかーら!!しらばくれるなって! 病気だからって仮病使ってズル休みしてたんだろ?」 「そ、そんな…違うよ…」 「けっ!仮病使ってまでイベント行くとか、 頭腐ってんじゃねーの?この仮病女が」 「…」 私は、反論の余地がなかった。 「これ以上ズル休みしたら、どうなるか分かってるよな?」 一人の男子が私の胸倉を掴んで引っ張り上げた。 「うわ、こいつ涙目だよ…きめぇ」 「お前がズル休みなんかする価値ねーんだよ。 糞蟲が。じゃーな」 男子は、自分の席に戻った。 私は、へたへたと机に突っ伏した。 何で…こうなるの…? 私が、何をしたっていうの…? 善意でやったことなのに… いいことをしたと思ってたのに… 私…仮病じゃないよ… 本当に、病気なんだよ… 「はーい、ホームルーム始めるでー… って泉!?またか!お前はイベントの日だけ 学校休むんかい!」 クラスに、笑い声が響いた。 私に対する陰湿な嘲笑が。 休み時間には、教室の端で陰口を言い放っている 数人の女子の姿が居た。 まただ… また、小、中学校の思い出したくもない光景が 現に今、訪れている。 昼休み、私は人気のない屋上で 弁当を食べることにした。 みんなの視線を浴びるのはもう嫌だった。 あぁ…もう、学校なんて嫌だ。 高校になって、もう辛いことはないだろうと思っていたのに。 一生分の辛さを小、中学生で味わったと思っていたのに… その時、屋上のドアが開いた。 つかさとみゆきさんが、こちらへ歩いてきた。 「つかさ…みゆきさん…」 「こなちゃん、大丈夫?」 「泉さん…大丈夫ですか?」 「ぁ…うん、これくらいはどうってことないって 心配しないで!」 「…そうは見えないよ。こなちゃん」 そうだ。 私には、かがみんとつかさとみゆきさんがいる。 「あははは…で、どうしたの?二人とも…」 「こなちゃん…ただ1つ、教えてほしいことがあるの」 「何?つかさ」 「こなちゃんは、何て病気なの?」 「え…?」 「病名が分かったら、私から黒井先生に伝えるから、 それで集会か何かになって皆に立証できるかもしれない」 「ま、まだ分からないんだ…検査の結果が出てない…」 「こなちゃん…言いたくない気持ちは分かるけど、 言わないとこの虐めはどんどんエスカレートしていくよ?」 「そうですよ。私たちは泉さんのために言ってるんですよ? 重大なら、重大な病気だと皆さんに言えるんですよ?」 「だ、だから…本当なんだよ…」 「こなちゃん!いい加減にしてよ。 私達、親友だよね?」 「泉さん、隠すのもほどほどにして下さらないと」 「だから!まだ分からないんだよ!」 私は、屋上で叫んだ。 「そっか…そうなんだね。よく分かったよ」 「え…?」 「泉さんは、せっかく私達が彼方に 協力してあげようとしているこの好意を、 踏みにじるんですね?」 「ち、違う…違うよ…信じて…」 「私達の友情って、そんなものだったんだね… もういいよ。こなちゃんがそれでいいなら 好きにすればいいよ」 「つ、つかさ…みゆきさん!」 「では、失礼します」 そして、屋上の扉は閉じられた。 その日の授業は、全く頭に入らなかった。 つかさもみゆきさんも、私を無視するようになった。 放課後には、かがみんまでもが… 放課後は、私は一人で家に帰った。 また、頭痛が激しくなってきた。 もう、嫌だよ… 何でこんなことになったんだろ… 私は…もう独りなんだ… 学校なんかもう行きたくない。 独り惨めな生活は、もうしたくない。 しかし、学校に行かなければ、 どんな仕打ちが待ち受けているか分からない。 絶望感に私は再び追い込まれた。 親友さえ失った今、残っているものは… 「こなた…おかえり。今日は頭、大丈夫か?」 「お姉ちゃん、病気なの?」 お父さんと、ゆーちゃん… 「頭は…痛い」 頭痛は昨日にも増して激しかった。 恐らく、今日受けたストレスが原因だろう。 「このままだとマズいかもな…また病院行くか?」 「…い、いや。明日も学校に行く…」 「そうか?無理はしなくていいんだぞ?」 「そうだよ。いくら受験生でも、 そこまで無理はしなくていいよ」 「ありがとう、お父さん、ゆーちゃん。 でも、明日は行くからね…行かないと」 私は、そのまま部屋に入って独りで泣いていた。 誰も助けてくれない。 でも、私は弱い人間なんだ… 皆に太刀打ちができる訳がない。 つかさ達は、せっかく私を助けてくれようとしていたのに、 裏切ってしまった。 でも、病名は出てないよ…本当に… 翌日思い足取りで学校に着くと、 上靴が無かった。 ゴミ箱を探してみると、私の上靴が入っていた。 上靴の中までゴミを詰められていて、とても臭かった。 中は、ぐっしょりと湿っていたが、仕方ないので履いて、 教室に入る。 その日、私は誰とも会話することなく一日を終えた。 トイレに入ると水をかけられたり、 足を引っ掛けられて転んだり、 完全なる虐めだった。 しかしそれは、先生にはバレない程度の虐めだった。 徐々に私のストレスを溜めていこうという作戦らしい。 学校に、私の居場所はもうなかった。 家に帰って携帯を見ると、メールが数十通にも及んでいた。 全てが迷惑メールだった。 もちろん、メールアドレスに登録していない人からも来ていた。 むしろ、それがほとんどだった。 それからの数日は、同じような日が何度も繰り返された。 それに比例するかのように、私の頭はどんどん痛くなっていった。 ある日、私は家に帰った時に気を失った。 再び、病院でCTスキャンとレントゲンを撮られた。 「脳に腫瘍が出来ていますね」 「悪性ですか…?」 「どうやら、悪性のようです。 元々は良性だと判定していたのですが、突然変異です。 こんなことは極めて異例です。 ストレスが原因だと考えられるのですが… あなたがもう少し早く病院に来て下されば、 適切な処置が出来たかもしれません」 このストレスというのは、 私が今まで過ごしてきた孤独が積もり積もったものだろう。 おまけに、私は脅しをかけられていたんだ。 病院なんか来られるはずがなかった。 「…残念ですが、こなたさんの命は、 あと1ヶ月足らずです。 延命治療を受けるのなら別ですが、 それでも死亡が数日間遅れるだけです」 「治ることは、ないんですね?」 「…はい。脳だけでなく、 身体のあちこちに転移している可能性がありますから」 そういえば、今日は身体が麻痺した感覚になった覚えがある。 「延命治療を、受けますか?」 「…少し考えさせて下さい」 「解りました。いつでもどうぞ。なるべく早めにお願いします」 翌日から、私は病院での生活になった。 延命治療をしても、死亡日を遅らせるだけ。 延命治療なんかして身体を拘束され、 病に蝕まれて苦しみ死ぬよりも、 自分で好きなように生涯を終えたい。 どうせなら、充実した人生のゴールを切りたい。 そうだ。 来週のマラソン大会に出よう。 応援団はいない。 いないけど、最期に走りたい。 遅れれば遅れる程、走ることが出来なくなる。 マラソンで走って、人生の未練を完全に捨て、ゴールテープを切る。 うん、それがいい。 すると、お父さんが病室に来た。 「こなた。延命治療のことだが…どうする?」 「私、延命治療は受けない。自分の人生は、自分の力で終えたい。 私、マラソン大会に出るよ。お父さん」 「そうか…解った。こなたはそれでいいんだな?」 「うん…お父さん、ごめんね。親不孝だよね、私」 「こなたがそれでいいんなら、それでいい。 お父さんのことなんか、気にすることない。 しっかり頑張ってくれ」 お父さんは、笑顔で言ってくれた。 内心は、寂しいのが見え見えだったけど。 そして、マラソン大会当日。 私は一人のランナーとして、ゼッケンを貰った。 スタート地点で、お父さんが励ましてくれた。 号音が鳴り、総勢約100名が走り出す。 陵桜学園高等部からは、私一人だけだった。 偶然だろうか… それとも、やはり… まあいい。 今は、マラソン中だ。 余計なことを考えて、酸素を使わないようにしないと… しかし、そう考えれば考えるほど、 今までの自分が走馬灯のように目に映る。 かがみんやつかさ、みゆきさんのこと… できれば、応援に来てほしかった。 最後まで私の友達であってほしかった。 頭痛は走るごとにズキンと頭に響き、 何度も走るのを止めかけた。 でも、私はゴールする。 そのために走ってるんだ。 人生のランナーを完走するために。 しかし、ゴールまであと2キロメートルのところで、 足が縺れて転んでしまった。 私は、もう駄目かと思った。 私の横を、どんどん他のランナーが過ぎていく。 やっぱり…一人じゃ… 「こなたあああああああああ!!!」 私は、目を大きく見開き、辺りを見回した。 しかし、山道だったので、かがみは居るはずがなかった。 ひょっとしたら、夢かもしれない… だがその声は、私に力を与えた。 あと、2キロメートルだ。 辛いことは、おしまいだ。 そして、山頂のゴール地点では車で移動していたお父さんが待っていた。 私は、ゴールテープを切り、そのまま走り続けた。 しかし、お父さんに抱きつくことなく、 そのままお父さんの手を強く握り締め、 まっすぐに走り、目の前に広がる崖に落ちないように 設置されていた柵をさっと飛び越え、 人々の悲鳴を聞きながら、 私とお父さんは風と共に人生のゴールテープを切った。 私、次もお父さんの子供がいいな─ こなたランナー その後 (終)